今月の臨床 多胎妊娠管理—レベルアップのために
双胎間輸血症候群の診断と管理
1.双胎胎盤の病理所見—双胎間輸血症候群の血管吻合を中心に
中山 雅弘
1
1大阪府立母子保健総合医療センター検査科
pp.736-740
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904655
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双胎の胎盤の観察法1)
双胎の胎盤による卵性診断について述べる.双胎は,胎児の性別が異なればまず二卵性である.この点に関して.唯一の例外は胎児の性染色体異常症である.極めて稀な状態であるが,一卵性双胎で,1個の接合子の双生児化の時期と並行して(あるいはその後)不分離が生じたため,一方の染色体のY染色体が障害を受け,46,XY(男児)と45,XO(女児,Turner症侯群)という例外が発生する.当科で1例にのみこのような例を経験している2).性が同じである場合は胎盤の数を見る.胎盤が2個の場合は分離二絨毛二羊膜である.次いで,胎盤が1つの場合は隔壁があるかないか(羊水腔は1つか2つか?)をみる.隔壁がなければ一絨毛一羊膜胎盤である.隔壁があるときに,これと羊水腔表面の羊膜・絨毛膜との関係を見る.一絨毛二羊膜のときは隔壁は2枚の羊膜のみからなるので非常に薄い.二絨毛二羊膜のときは羊膜の間に結合織が見られるので通常厚い.この鑑別は,肉眼的に簡単にわかるものが大部分であるが.このような胎盤の約10個のうち,1〜2個は難しくて間違いやすい.二絨毛二羊膜胎盤で隔壁の結合織がわずかな場合は,注意深く見ないと一絨毛二羊膜胎盤と見間違う.このような例は,隔壁の組織検査も併用するとよい.
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