今月の臨床 今日の癌検診
子宮体癌
14.細胞診と組織診の不一致例の取扱い
岡島 弘幸
1
,
飯田 萬一
2
Hiroyuki Okajima
1
,
Manichi Iida
2
1神奈川県立がんセンター婦人科
2神奈川県立がんセンター病理
pp.670-672
発行日 1991年6月10日
Published Date 1991/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900448
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私は1980年に癌研附属病院における内膜細胞診について発表して以来,折に触れて内膜細胞診の精度向上に係わってきた。昨今では各施設とも経験の蓄積とともに正診率が向上し内膜癌に関しては安定した診断成績が得られるようになった。しかし内膜増殖症に関しては,客観的診断基準が模索されているもののいずれもまだ満足のいく状態とは言い難い。それは子宮内膜がホルモンの消退によって増殖と剥脱を繰り返すきわめて動的な組織であることからくる難しさと,一般的には10倍から40倍程度の顕微鏡観察の対象としては,内膜細胞は小型な方で異型に伴う偏倚の幅が小さく形態の鑑別が難しいことなどによると考えられる。
今回内膜細胞診と組織診の不一致例について検討するにあたって,まずわれわれの施設での診断精度の向上について触れ,次に不一致例について具体的に呈示しようと思う。なおわれわれの施設では通常癌研式吸引法を主とし,症例によってはこれにエンドサイト法を併用するようにしている。
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