今月の臨床 更年期障害
治療
31.ライフ・スタイルの改善
加藤 廣英
1
Koei Kato
1
1獨協医科大学産婦人科学教室
pp.594-596
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900430
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更年期障害婦人ではCRFに対するACTHやβ—Epの反応が亢進し,エストロゲン投与によって反応が低下すること1)や,hot flush時にLHの上昇とその後にACTH,β—Epやcortisolの上昇が起こり2),またエストロゲンが更年期障害婦人の寒冷負荷時に指尖容積脈波高の変動を回復させること3)などは,ストレスによる脳内アミンや自律中枢に対するエストロゲンの有効性を示唆している。
更年期はライフ・サイクルの観点からみれば身心の変化する時期で,更年期婦人がそれまでに形成してきた感性や自己主張のもとになるidentity(自我同一性)に対して生活環境のひずみやストレスの持続によって精神的抵抗性を失い,自己肯定ができなくなり,更に本人がそれに気付かず,心身症に陥っていることがある。そして更年期婦人の中で更年期障害を起こす割合は約75%,情動障害に基づく自律神経症:約20%,心身症;約20〜29%,神経症:約19%とうつ病:約7%と報告されている。
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