今月の臨床 卵巣がん—疫学から治療まで
疫学と動向
3.リスクファクター
森 満
1
,
福田 勝洋
1
,
西村 治夫
2
Mitsuru Mori
1
,
Katsuhiro Fukuda
1
,
Haruo Nishimura
2
1久留米大学医学部公衆衛生学教室
2久留米大学医学部産婦人科学教室
pp.774-775
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900915
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日本では卵巣がんの年齢調整死亡率は年々増加する傾向にある1)。年齢別にみると,50歳以上で増加傾向が顕著であるのに対して,50歳未満では明らかな増加傾向は認められない1)。このことは,宿主要因とともに環境要因もが卵巣がんのリスク要因となっており,特に高年齢層ではその環境要因への曝露が増加していることを示唆するものである。
疾病発生のリスク要因を疫学的に検討する場合,記述疫学的研究のみならず分析疫学的研究(症例対照研究やコーホート研究など)が必要となるが,過去10年間だけでも卵巣がんの症例対照研究の報告は,われわれ自身のも含めて1,2)60編以上あり,コーホート研究も10編余り報告されている。それらの報告を参考にしながら卵巣がんのリスク要因をまとめ,病因論的解釈の諸説を示した。なお,表層上皮起原の卵巣がんに関するリスク要因の検討に限った。
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