特集 中高年の婦人科
Overview
婦人の老化と発癌
園田 隆彦
1
Takahiko Sonoda
1
1国立がんセンター病院婦人科
pp.385-392
発行日 1990年5月10日
Published Date 1990/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900097
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老化と癌化はかなり類似する点もあるが,相異点もあり,現在なお両者を統一的に理解するための十分なデータがないとされている。Pitot(1977)は両者の類似点として,1)長期生存者にみられ,2)飢餓による抑制効果があり,3)抗酸化剤による阻止効果,4)不飽和脂肪酸による促進効果があり,5)内分泌環境による影響があり,6)DNA修復が増進する,7)mRNAの鋳型安定度の変化がある,8)薬物代謝が減退している,以上の8項目,また相異点として,1)細胞の寿命について,老化では寿命があるが,癌化では多くは不死である,2)核型は,老化では安定しているが,癌化では不安定である,3)不活性酵素分子は老化にはあるが癌化にはあるとの証拠がない,以上の3項目をあげた。
老化と癌化の基礎的研究は遺伝子を中心に急速に展開されているが,臨床的疫学的研究の重要性も変わりはない。本稿では,婦人の老化と発癌について日本における癌罹患状況とくに罹患率を男性と対比しつつ若干考察する。
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