特集 Office Gynecology
Office Gynecologyの実際
私の不妊クリニック
沢田 喜彰
1
Yoshiaki Sawada
1
1沢田クリニック
pp.132-136
発行日 1990年2月10日
Published Date 1990/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900022
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筆者が東京・目黒に外来診療を専門にするクリニックを開設したのは18年前になる。当時はこの種のオフィス型婦人科診療所は全国的にも少なく,殊に優生手術を含めた婦人科手術も取り扱わないタイプのものでは最初であったと思う。したがって,周囲にはこの試みについて危惧して下さるむきも少なくなかったが,筆者は将来への楽しい予感さえ持っていた。その背景となったのは,内科的な診療設備しか持たないソニーの健康管理室での嘱託としての経験である。最初は生理障害のコンサルタントとしてスタートした活動は,内科的には長期間改善が得られなかった貧血症の管理をはじめ,女子社員の職場でのトラブルについての医学的処理まで,日を逐って範囲を広めていた。こうした体験は,未だ医療的に受け皿のない女性の問題が山積されたままであることに気付かせてくれるに十分であった。他方,ウースター生物学研究所からミシガン大学を経て実験動物中央研究所に至る約7年の間,臨床を離れて当時の婦人科診療を考え直す余裕が得られたことも貴重であったと思う。
図は開設後の年間患者数とこの中で占める不妊患者の比率である。開業当初は,内科医・整形外科医・神経科医らの協力を得て,思春期外来・老壮年婦人の健康相談を活動範囲に含めていたが,2〜3年後から急速に不妊相談が増加し,この数年は年間受診者の9割を占めるようになっている。
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