症例
同一起源と考えられた腺癌と扁平上皮癌による子宮頸がんの衝突がん
栖田 園子
1
,
髙橋 良輔
1
,
安積 麻帆
1
,
鷲尾 佳一
1
,
清水 真帆
1
,
長又 哲史
1
,
村田 友香
1
,
寺井 義人
1
1神戸大学医学部附属病院産科婦人科
pp.1153-1156
発行日 2022年11月10日
Published Date 2022/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210825
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▶要旨
衝突がん(collision cancer)は独立した組織が移行・混在することなく隣接して存在する多発がんの1つとされる.今回,子宮頸がんⅢC1期の患者で同一起源と考えられた衝突がんの診断となった症例を経験したので報告する.症例は33歳,子宮頸部組織検査にて腺癌を認め,術前に子宮頸がんⅠB2期と診断され,腹腔鏡下広汎子宮全摘術,両側付属器摘出術,骨盤リンパ節郭清術を施行した.術後病理結果にて腺癌と扁平上皮癌の衝突がん,子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)の合併とリンパ節転移を認め,最終診断は子宮頸がんⅢC1期となった.術後再発高リスクため同時化学放射線療法を6コース施行した.衝突がんは比較的稀な組織型であり,その成因ついては不明とされるが,本症例の腺癌・扁平上皮癌領域のそれぞれからHPV18が検出され,HPV18による同一起源の発生の衝突がんの可能性を示唆する結果であった.HPVにより複数の組織型の病変が出現することがあり,病理学的診断の際には,1つの組織型だけではなく他種の組織型の共存の可能性にも注意し診断する必要がある.
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