今月の臨床 妊娠時の栄養とマイナートラブル豆知識―妊娠生活を快適に過ごすアドバイス
妊婦にみられるマイナートラブルと薬剤投与のコツ
妊婦貧血への対応
内田 季之
1
1浜松医科大学医学部附属病院周産母子センター
pp.452-458
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210702
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●生理的に妊娠経過とともにヘモグロビン(Hb)濃度は低下し,妊婦貧血となる.平均赤血球容積(MCV)が低下する小球性貧血であり,鉄欠乏性貧血となる.
●わが国の妊婦は鉄摂取が不足している.プレコンセプションケアとして,鉄摂取を日常から心がけ,やせ,貧血の既往などの場合は妊婦貧血のリスクがあると考え,食事摂取からの鉄補充だけでなくサプリメントも有効活用するように指導する.妊娠中期・後期では1日あたり鉄20mgの摂取が推奨されている.
●鉄剤投与は少なくともHb濃度10.0g/dL未満では開始する.鉄剤に多く出現する消化器症状,特に嘔気・嘔吐は第二鉄製剤が少ない.消化器症状で内服困難,急速に貧血を改善したい場合に静注鉄剤を用いる.鉄剤投与は炎症がある場合は効果が低く,輸血後では鉄過剰となる可能性があるので注意を要する.
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