今月の臨床 産科外来検診マニュアル
妊娠中期
15.妊婦貧血
貝原 学
1
Manabu Kaibara
1
1帝京大学医学部附属市原病院産婦人科
pp.503-505
発行日 1993年5月10日
Published Date 1993/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901270
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われわれが日常診療上遭遇する疾患として,いわゆる妊婦貧血ほど頻度の多いものは他にないであろう。さらに,このように頻度が高いにもかかわらず放置されている疾患は他にないであろう。
1991年に日産婦栄養問題委員会は,このように放置されていた妊婦貧血の現状分析を行い,貧血に関する用語や診断基準についての試案を作成し報告している1)。それによると「妊婦貧血」の定義は,妊婦にみられる貧血の総称であるとし,そのうち,妊娠に起因する貧血でHb値11g/dl未満およびHt値33%未満のものを「妊娠性貧血」と定義している。さらに妊娠性貧血のうち小球性低色素性であり,血清鉄の低下,TIBCの一上昇など,鉄欠乏が確認されるものは「妊娠性鉄欠乏性貧血」というと取り決められている(表1)。
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