増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために
周産期
Q9 遺伝性疾患をもっています.妊娠・出産に影響がありますか?
山田 崇弘
1
1京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
pp.121-122
発行日 2021年4月20日
Published Date 2021/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210315
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A9
妊娠・出産ではあなた自身への影響と赤ちゃんへの影響との両方を考える必要があります.まず,あなた自身への影響としては遺伝性の疾患であってもそうでなくても,その疾患の妊娠への影響と妊娠自体の疾患への影響について検討する必要があります.疾患の主治医の先生と産婦人科の先生の両者と十分話し合ってください.
次に赤ちゃんへの影響です.その遺伝性疾患が赤ちゃんへ受け継がれることがご心配なのかもしれませんね.しかし,あなたには何も疾患がない場合でも,生まれてくる赤ちゃんが何らかの先天性疾患をもっている可能性は3〜5%あります.すでにあなたがその疾患をおもちで,赤ちゃんが同じ疾患を発症する可能性がある遺伝形式の例としては,常染色体優性遺伝,あるいはX連鎖遺伝がまずは想定されます.赤ちゃんがその疾患をもつ可能性は前者であれば50%,後者では男の子であれば50%の可能性でその疾患をもつあるいは流産となり,女の子であれば50%の可能性で非発症保因者あるいはその疾患をもつことになります.ただ,それ以外の遺伝形式をもつ疾患も多く存在し,評価が難しい場合もありますので,一度遺伝カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか.
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