今月の臨床 若年女性診療の「こんなとき」どうする?―多彩でデリケートな健康課題への処方箋
性・性活動
性犯罪・性暴力被害者にはどのように対応すればよいのか
対馬 ルリ子
1
1対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座
pp.682-689
発行日 2020年7月10日
Published Date 2020/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210099
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●若年女性や女児に対する性犯罪・性暴力は,これまで考えられていたよりもずっと多く存在する1).若年層における加害者は,見知らぬ他人よりも,家族や親族,上司,教師,先輩など,被害者に近い関係者が多い.
●しかし,被害者がそれを主訴に受診するにはかなりハードルが高く,また受診による二次被害をおそれる現状がある.性暴力被害者が医療機関を受診したとき,大きな心理的物理的ハードルを乗り越えて受診したものと認識すべきである.その目的は,主に妊娠や性感染症への不安である.医療者としてきちんと対応できるようにしておこう.警察や行政への通報が必要,かつ裁判の資料となることがあるため記録は大切で,被害者の了解を得たうえで可能な情報や証拠は採取しておく.
●産婦人科診療において明確にもっておきたい認識は,「性暴力は犯罪であり,被害者は悪くない」という認識であり,被害者を心身ともに支え,被害者が尊厳を取り戻し,通常の生活に戻れるよう支援する立場である.
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