今月の臨床 完全マスター! 妊娠高血圧症候群─PIHからHDPへ
病態と新定義
妊娠高血圧症候群の病態に関する最近の知見
松井 遥香
1
,
入山 高行
1
1東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
pp.640-645
発行日 2018年7月10日
Published Date 2018/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209436
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●妊娠高血圧症候群,特に妊娠高血圧腎症の発症および病態形成の分子機序については多くが明らかとなりつつある.
●妊娠初期に子宮螺旋動脈のリモデリング不全を契機として生じる胎盤障害により,胎盤から諸々の原因因子が母体血中に流入し,母体の症状が形成される,というtwo-stage disorder modelが,妊娠高血圧腎症の病態仮説の趨勢を占めている.
●原因因子として精力的に研究がなされているものとして,血管新生関連因子のバランス不全,アンジオテンシンⅡ1型受容体に対する活性化型自己抗体(AT1-AA),胎盤でのアデノシンの過剰蓄積などが挙げられる.これらの因子が関与して妊娠高血圧腎症の病態が形成される.本稿ではこれらの因子を中心として,病態機序についての最近の知見を紹介する.
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