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6.生殖補助医療
Q9 顕微授精時の精子の選別法について教えてください
中山 貴弘
1
1足立病院生殖内分泌医療センター
pp.288-289
発行日 2016年4月20日
Published Date 2016/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208737
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A 顕微授精適応患者の精液所見は,ほぼ正常域にあるものから入念な探索が必要なTESE精子までかなりの幅があり,それに合わせて調整方法も若干変える必要があります.ただ,あまり多くの方法を設定することは意味がなく,むしろ業務の妨げになると思われます.当院では主に運動精子数を基準にして3種類の密度勾配遠心法を用いた精子選別法を行っており(表1),良好な成績が得られています.
円滑な顕微授精操作を可能にするためには,選別時にできる限り精子以外の成分の除去を行うことが重要です.そして処理後の精子はDNAの断片化を防ぐため,気相や温度変化など外部環境への被曝に十分注意し,速やかにICSIに供します.最終的に注入精子を決定するのはICSI用ディッシュ上であるので,スポットのレイアウトの作成方法も成績に影響を及ぼします(別項記載).また,運動精子数が極端に少ない場合では,可及的に多くの胚培養士を動員して良質の精子を時間が許す限り根気強く探し出すことが成績向上につながります.当院では,1症例につき3台のシステムを同時使用して運動精子を検索し,ICSIの効率化を図っています.
なお,後述するIMSI(intracytoplasmic morphological selected sperm injection)1)とhyaluronic binding assay2)については現時点で治療成績が大きく左右される結果は報告されていないため,われわれは両法ともまだ研究段階との見解であり,一般診療への導入を保留しています.
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