今月の臨床 不妊女性に対する手術療法─適応・タイミングと手技のコツ
不妊女性に対する手術療法の位置づけ
長田 尚夫
1,2
1加藤レディスクリニック
2Natural ART Clinic日本橋
pp.154-165
発行日 2016年3月10日
Published Date 2016/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208609
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
●筆者が経験した不妊患者の原因分類では,卵管・子宮因子が全体の40.4%と最も多く,その大部分は,卵管形成術,子宮筋腫核出術,卵巣囊腫摘出術などを行うことによって妊孕性を回復できる.
●体外受精と卵管形成術を治療成績から比較すると,体外受精の治療周期当たりの生産率は11.5%であるが,卵管形成術の妊娠率は34.5%と明らかに高い.
●着床障害や発育障害の原因になる子宮筋腫や卵管留症などの不妊原因に対し外科治療を積極的に行うことは,自然妊娠の回復を計るばかりでなく体外受精の成績をも上げることになる.
●わが国のART施行年齢は年々高齢化し,40歳以上の割合はすでに40%を占める.体外受精の高齢者の出生率が低いばかりでなく,2016年4月からは回数制限と年齢制限が始まる.一方,不妊症の手術療法は,高齢者であっても手術によって不妊原因を除けば,排卵がある限り毎月自然妊娠の可能性が回復することから,その意義は大きい.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.