連載 Estrogen Series・147
外傷性脳損傷とプロゲステロン(1)
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.135
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208603
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世界的に外傷性脳損傷(traumatic brain injury : TBI)は重大な障害や死亡をもたらす原因である.TBI発生の1番の原因は自動車事故である.いままでいくつかの試験により,さらに最近2種の初期フェーズ試験により,プロゲステロンがTBI患者の神経学的な予後を改善することが報告されている.
プロゲステロンは中枢神経系内で合成される強力な神経ステロイドである.いままでの動物試験で,TBIに対するプロゲステロンの投与は脳浮腫,神経学的欠損,行動欠損などを減少させることが報告されている.その後,2種の臨床試験で,プラセボに比較してプロゲステロンの投与がTBI患者のアウトカムを改善させることが示され,プロゲステロンに対する期待が高まった.
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