臨床研修セミナー 婦人と栄養
人工栄養法の実際
吉川 恵次
1
,
武藤 輝一
2
Keiji Yoshikawa
1
,
Terukazu Muto
2
1新潟大学医学部附属病院救急部
2新潟大学医学部第一外科
pp.793-799
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208058
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元来,人工栄養(artificial nutrition)とは「母乳以外の栄養で乳児を育てる。」ことを指すが,ここでは定義を「通常の食事以外の栄養投与法」ということに拡大して,その実際について述べてみたい。また成人を対象とした場合を想定して話をすすめたい。
ところで種々の疾患を有する入院患者には予想以上に高率に栄養障害(malnutrition,undernutrition,nutritional depletion)が存在するといわれている。米国のBistrianら1)は栄養評価(nutritional assessment)により外科入院患者の50%,内科入院患者の44%に中等度以上の栄養障害を認めている。このような場合,積極的に栄養素を補給することにより栄養状態のみならず病態そのものも改善されることが期待される。従って,これらの患者における栄養素の補給は医学的治療手段の一部とみなされ,栄養療法(nutritional therapy)と呼ばれる。
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