臨床研修セミナー 思春期
好発疾患とその診断
加藤 紘
1
Hiroshi Kato
1
1山口大学医学部産科婦人科学教室
pp.269-272
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207967
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思春期は二次性徴が現われ始める7〜8歳から性周期の安定する18歳頃までとされている。この時期の女性は乳房の発育や初経発来など身体的変化が著しく,また異性や自己に対する意識も芽生え心身ともに不安定な年代である。加えて急速な変貌を遂げる社会環境のなかで思春期女性にはストレスも多く,心身の発達に伴う"きしみ"ともいえる思春期疾患は今後ますます増加するものと予想される。
本来,女性の思春期疾患は産婦人科医が取り扱うべきものであるが,特に思春期の女子は産婦人科受診に対する心理的な抵抗が強い。そのために心ならずも適切な治療の時期を失することさえある。今後は産婦人科受診に対する患者の抵抗感をなくしてゆく努力が大切で,そのためには患者に対する話し方一つにも慎重な配慮が必要となろう。ここでは思春期の好発疾患とその診断について産婦人科医の取るべき基本姿勢を中心に述べてみたい。
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