Japanese
English
Bedside Teaching
肺結核の好発部位はあるか
Is There a Definite Preponderance of Lesions of Pulmonary Tuberculosis ?
青柳 昭雄
1
Akio Aoyagi
1
1国立療養所東埼玉病院
1National Higashisaitama Hospital
pp.507-512
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901253
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はじめに
わが国の1994年の全結核の新登録患者数は44,590人(35.9/10万)で前年に比して6.2%減少し,この数年減少率の鈍化が憂慮されていたものが初めて年率5%を越える減少を示した.また,治療を必要とする活動性結核患者数は70,781人(56.6/10万)であり,死亡者数は3,094人(2.5/10万)である1).これらの数は未だ先進諸外国に比し高率ではあるが,1940年の死亡者数15万,1958年の有病者304万人であったことよりみればわが国の結核患者数は激減し,一般国民が結核患者に接する機会も著しく減少し,若年者では自然感染によるツベルクリン反応(ツ反応)陽性患者の数も著明に減少している.結核菌のブースター効果をうける機会も減ったので,小児時に自然感染を受けツ反陽性となったものが高齢になり陰性化し再感染発病を示す者もみられるようになっている.
結核の侵淫度が低くなった時代と高い時代とでは肺結核の胸部X線像も変貌することが予想される.本稿は「肺結核の好発部位はあるか」との命題であるが,これには結核の感染・発病様式の理解が必要である.また,結核症は,初感染に引き続いて起こる際に一次結核症(初期結核症,初感染結核症,小児結核),かなりの年数を経て発症する者を二次結核症(慢性結核症,成人型結核)と呼ばれているが,本稿では便宜上,一次結核症を進行性初感染結核,二次結核症を再燃結核,再感染結核とに分けて記載する.
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