思い出の写真
黄体ホルモン研究の思い出—石塚・Zander両教授との出会い
前山 昌男
1
1大阪逓信病院
pp.844-845
発行日 1987年12月10日
Published Date 1987/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207704
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大多数の人は,その人生において大きな転機となるような出来事や人物に遭遇している。私自身も,もし石塚直隆先生(名大名誉教授,元名大学長)にお目にかからなかったならば,おそらく大学人としての生活を40年近く送ることはなかったであろう。人間と人間との出会いは,それが人生に大きな影響を与える場合には全く運命的である。
昭和22年(1947)に入局した阪大産婦人科学教室の研究室は,敗戦により大学としての機能を全く失っていた。当時,中支より帰還された石塚先生は荒廃した研究室で唯一人黙々と仕事されていた。その年の12月のある寒い日に,突然,粗末な遠心器の傍で先生から実験を一緒にしようと声をかけられた時の感激は,今でも鮮かに覚えている。先生の研究テーマは胞状奇胎患者の尿より抽出したhCG (当時,トロフォブラストホルモンと呼ばれていた)の臨床応用であった。
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