図解 救急基本手技
循環管理
井口 登美子
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.917-921
発行日 1986年12月10日
Published Date 1986/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207506
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救急のポイント
循環管理を必要とする病態は急性循環不全をおこした時である。急性循環不全とは主要臓器への有効血流量の減少によって組織代謝が障害され,正常機能が営めなくなった状態である。これは循環血液量の減少,心臓のポンプ機能低下,末梢血管の異常な拡大のいずれかにより引きおこされる。産婦人科領域で最も高頻度に遭遇するのは大量出血による循環血液量減少性ショックである。他に心原性,アナフィラキシー,細菌性ショック,血管の虚脱などがあげられる。
ショックの症状 顔面蒼白,四肢冷感,冷汗,血圧下降,呼吸不全,全身の虚脱,脈拍触知不能,乏尿,無尿などであり,これら症状からショックの診断は容易である.ショックの初期管理は通常の診察手順をふむ時間的余裕のない場合が多く,短時間で診断を下し,直ちに救急処置すなわち心肺蘇生,血圧維持への処置を始めながら,原因の鑑別診断をすすめ,原因疾患の治療を行うことが救命につながる。症状発現から治療開始までの時間如何により不可逆性ショックに陥る。
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