ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 更年期障害
Topics
更年期クリニックと漢方療法
東條 龍太郎
1
,
山田 俊雄
2
Ryutaro Tojo
1
,
Toshio Yamada
2
1東條ウイメンズクリニック
2星薬科大学臨床化学教室
pp.186-187
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207142
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I.更年期障害の外来診療
更年期障害の患者は,更年期におけるバラエティーに富んだ不定愁訴を主訴として外来を訪れる。外来診療における診断の指針として,まず全身の器質的な疾患の検索があげられる。老化過程の潜在的な進行により発現する循環器系疾患,消化器系疾患,新生物,性・泌尿器系疾患などに対し臨床的なチェックを行い,不定愁訴の診断をつける。次いで,患者の訴を注意深く聴く問診を十分時間を割いて行う。対話を通して患者の心理的な背景を把握し,更年期障害の治療に対する手がかりを得るとともに,各種の心理テストを用いて病型を分類する。臨床的には,患者はかかる不定愁訴を,大きな苦痛と感じて来院して来ている場合が多く,対症的な治療を先行させて症状の安定を待ち,その効果により診断や病型分類を行う場合が少なくない。自律神経失調性更年期障害に対して,ホルモン療法(特にエストロゲン+アンドロゲン剤:ボセルモンあるいはプリモジアン)が有効である。得られた効果を持続させるために,結合型エストロゲンの経口投与(プレマリン錠,ロメダ錠)に切り替えて行く。心因性更年期障害には,向精神薬(主にchlor—diazepoxideやdiazepam等の抗不安剤)や自律神経調整剤(γ—オリザノール,ベレルガル)が用いられ,心理療法と組み合わせて治療が進められる。しかし,重症例においては,婦人科外来での治療の範囲とはいえず,心身医療を専門とする精神科医に依頼すべきである。
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