特集 卵巣
Ⅰホルモンとリプロダクション
卵巣リズムとホルモンの相関
中野 由美子
1
,
新井 康允
2
Yumiko Nakano
1
,
Yasumasa Arai
2
1順天堂大学医学部産婦人科学教室
2順天堂大学医学部第2解剖学教室
pp.21-26
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206920
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下垂体前葉のゴナドトロピンは卵巣に働いて,卵胞を成長させ,排卵を誘起し,卵巣のステロイド産生細胞の機能調節に主導的な役割をはたしている。ヒトを含めた多くの雌哺乳動物では,下垂体のゴナドトロピンの分泌様式は周期的であり,卵巣機能もそれに反応して,周期的に変動する。
ゴナドトロピンの分泌制御機構は原則として,視床下部を中心としたいわゆる「性中枢」への神経性入力と,血中のエストロゲンやプロゲステロンなどによるフィードバック情報,それに対する応答としてのLH-RHの放出というかたちで働いていると考えられるが,動物の種類によって,その仕組みがかなり異なることが最近判明した。その中で,テキサス大学のKnobilらの研究グループのアカゲザルを用いた研究結果はヒトの月経周期の成立機序を考える上に非常に示唆に富むものである。本文では,卵巣の示す機能的リズムを,ゴナドトロピンに反応する卵巣側からと,卵巣の機能的リズムを規定するゴナドトロピン分泌調節機構の側から検討し,その相関について言及する。
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