臨床医のプライマリ・ケア 症候論の整理
腹部の膨隆と腫瘤
小沢 満
1
,
小林 八郎
1
Mitsuru Ozawa
1
,
Hachiro Kobayashi
1
1国立大阪病院産婦人科
pp.879-882
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206727
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腹部膨隆は日常臨床でしばしば遭遇する現象であるが,その語の厳密な定義は必らずしも明確ではない。一般に正常範囲をこえて腹囲の増大或いは腹壁の隆起をみとめたときに腹部膨隆と呼んでいる様であるが,極めて局所的な腹壁隆起(たとえば腹壁の小さい膿瘍など)は腹部膨隆とは呼ばない様に思う。
腫瘤という語は腫瘍(Neoplasm)のみならず,炎症性の産物或いは重積を起した腸など,触覚や視覚で認知し得る大きさに達したmassを広く腫瘤と解すべきであろうが,一方真性の腫瘍でも,ごく小さくて,視覚や触覚で認知しえないもの(たとえば子宮頸部初期浸潤癌)などは腫瘤とは呼ばない。
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