臨床医のプライマリ・ケア 救急医療のfirst aid
性器の炎症—とくに生殖機能への後遺症を考慮して
松田 静治
1,2
Seiji Matsuda
1,2
1江東病院産婦人科
2順天堂大学
pp.600-602
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206666
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性器の炎症は,そのリプロダクションへの影響という面からみた場合,重要であり,子宮付属器炎などの骨盤内感染症罹患後の不妊症は社会医学的にも種々の問題を抱えている。一般に女性性器における炎症性疾患はその多くが感染によるものであり,ほかに非感染性の炎症も他科に較べてみると少ないが存在する。たしかに性器は尿路と同じく細菌感染の機会が多く,近年起炎菌,病態の面で,往時に較べかなりの変貌がみられている。
生殖機能に及ぼす感染症の後遺症については,卵管の疎通性障害(卵管癒着,溜水腫など),子宮腔癒着などを中心に,従来論議されてきたが,これらの後遺症がいかなる機序で妊孕性を低下させるかについては不明の点が多い。本項では性器の炎症を感染症の立場から不妊の問題とからめて以下若干述べてみたい。
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