指標
赤血球の変形能(その2)—産婦人科臨床よりの考察
貝原 学
1
Manabu Kaibara
1
1東京大学医学部分院産婦人科
pp.583-589
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206662
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Ⅴ.産婦人科領域と赤血球変形能
1.胎児ならびに新生児の赤血球変形能
胎児血(臍帯血)の赤血球の変形能は成人に比較して不良であるという報告が多い。Gross and Hathaway38)は,臍帯血赤血球浮遊液(ヘマトクリット:10±0.5%)の1mlがfilter membraneを通過する時間を測定し,これを赤血球の変形能のindexとした。その結果,成人赤血球ではこの値が4.2±0.8μl/secであるのに対して,胎児赤血球では2.3±0.6μl/secであり,胎児赤血球の変形能は著明に低下していることが明らかにされた(図5)。
胎児赤血球の変形能は,成人の場合に比較してpHの影響を受けやすい。suspension mediumのpHを7.4から6.8に変化させたところ,成人赤血球の変形能は9.8%低下したのに反し,胎児赤血球の変形能は50%も低下した(図6)。
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