BREAST FEEDING MEMO
母乳の感染症予防効果
澤田 啓司
1
1日本総合愛育研究所研究第三部
pp.403
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206621
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1960年頃の日本では,母乳栄養児と人工栄養児の乳児死亡率に大きな差があり,親の学歴や経済状態などの条件が悪い場合,人工栄養児対母乳栄養児の死亡率の比は4:1という調査成績があった。最近の日本の環境では,母乳栄養児と人工栄養児を死亡率で比較してももはや差はないかもしれないが,感染症やアレルギー疾患に関しては,罹患率にかなりの差がみられる。昭和50年10月から51年9月にかけて,厚生省心身障害研究,母乳研究班が全国の乳児約1,000例について縦断的な追跡調査を行なったが,その結果でも,上・下気道疾患,下痢症,湿疹などについて,母乳栄養児の罹患が人工栄養児に比して少ない傾向がみられた。
外国の調査でも,同様の結果がみられている。R.K.Chandra:Pros—pective studies of the effect of breast-feeding on incidence of infec—tion and allergy.Acta Pediatrica Scandinavica 68:692,1979のデーターを1例として紹介したい。
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