臨床メモ
新生児B群レンサ球菌感染症の予防
貝原 学
1
1東大分院産婦人科
pp.32
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206373
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B群レンサ球菌(Group B stre—ptococcus,以後GBSと省略する)は,ウシの乳腺炎の起炎菌として知られ,ヒトに対する病原性はないと考えられていた。しかし1964年にEi—ckhoffら1)によって,新生児敗血症の原因菌の25%をGBSが占めることが明らかにされて以来,欧米諸国で本菌による新生児の敗血症や髄膜炎が多数報告されるようになり,現在では大腸菌とならんでこれらの感染症の主要な起炎菌となってしまっている。GBS感染症は早発型(生後1週間以内,主として48時間以内に発症する)と遅発型(生後1週間すぎてから発症する)に分類されるが,米国の一部の地域では前者の発生頻度は生産1,000に対して3.0〜4.2,後者は0.5〜1.0にも達するといわれている2)。しかもGBS感染例の死亡率は50%と高率であり,本菌による感染症は極めて重大な問題となってきている。
GBSは妊婦の腟に存在し,分娩時に産道から胎児に移行するという垂直感染の経路をとる場合が最も多い。新生児GBS感染症の予防対策として,種々の方法が報告されているが,それには次のごときものがあげられている。
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