Modern Therapy リプロダクション・エイジ--その発来と晩期をめぐって
リプロダクション・エイジへの道程としての機能分化
森 宏之
1
,
木川 源則
1
Hiroyuki Mori
1
,
Motonori Kigawa
1
1大分医科大学産婦人科学教室
pp.593-599
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206290
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ヒトの諸器官は出生を境として著しい環境の変化にさらされる。諸器官は外界の諸因子に適応するために形態的・機能的な変容をとげねばならない。この適応現象は出生を境として一気に発現するのであるが,その準備状態—すなわち諸器官の成熟は妊娠初期〜中期では徐々に,妊娠末期には急速に進行し,分娩前には必要かつ十分な外界適応能を獲得して分娩を経過する。
これに反して性機能系は,その作動は出生から相当のへだたりがある。しかし性機能系もヒトにおいては胎児期においてその最も基本的な機能の一部を獲得している。すなわち機能的・形態的性分化や,性中枢の作動の様式などはすでに出生前には一定程度は完成していると考えられている。それがいわば休止期を経過し思春期という他の諸器官が出生時に経過したような形態的・機能的な著しい変容をとげて性成熟期へと移行する。この機序には未解決な部分が多いが,ヒトでの変化を中心に性成熟期への過程を胎児期から概述してみたい。
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