Modern Therapy 症候群の取扱いをめぐって
多毛を呈する症候群
仲野 良介
1
Ryosuke Nakano
1
1和歌山医科大学産科婦人科学教室
pp.365-368
発行日 1980年5月10日
Published Date 1980/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206244
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多毛を呈する疾患,あるいは症候群は数多いが,最初に用語法の問題から筆を進めたい。「南山堂医学大辞典」をひもとくと多毛症(hypertricho—sis),多毛性早熟症(hirsutism)という項目がみられる。また,"Dorland’s Illustrated Medical Dic—tionary"によるとhirsutismはabnormal hairi—ness,especially in womenであり,hypertrichosis はan abnormal excessive growth of hairであるという。
多毛と正常との境界も定かではなく,用語法の上でもこのような曖昧さがみられるが,hirsutismは恥部,腋窩,胸部,顔面などにみられる多毛を,hypertrichosisは四肢,頭部,背部などの多毛を指すことが多いようである。また,hirsutismがどちらかといえば病的状態における多毛を指すことが多いのに対してhypertrichosisは遺伝的,人種的,体質的な要因による多毛を指すことが多いようであるが,この区別もそれほど厳密なものではない。
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