症例
乳汁漏出無月経症候群に著しい肥満を伴った下垂体プロラクチノーマの1例
井浦 俊彦
1
,
富沢 英樹
1
,
川上 博史
1
,
高林 晴夫
1
,
桑原 惣隆
1
,
利波 久雄
2
1金沢医科大学産婦人科
2金沢医科大学放射線科
pp.1611-1614
発行日 1996年12月10日
Published Date 1996/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902790
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患者は27歳の未婚女性,主訴は乳汁漏出と無月経および同時期から1年間で約60kgの体重増加であった.初診時所見,身長154cm,体重112kg,肥満度+130%,全身状態は良好.内分泌検査では,プロラクチン1,228ng/m高値,成長ホルモン0.09ng/m1低値.頭部MRIにて,下垂体領域に長径2cmの腫瘍が存在し,腫瘍内は壊死性変化を示し,視神経交叉および視床下部を上方へ圧迫し,鞍背を越えて背側の脳脊髄液領域へ進展した下垂体腺腫が認められた.眼科検査では,視力,眼球運動は左右とも異常なし,視野は左の耳側に視野の沈下(軽度)が認められ,視神経交叉の圧迫が示唆された.
特徴的所見は,プロラクチノーマによる乳汁漏出無月経症候群に,視床下部の障害の時期に一致した著しい視床下部性肥満を呈したことである.また,病歴のうえから過食がなかったことは,興味深いことである.
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