実地臨床手技のエッセンス 月経困難症
月経困難症の診断のコツ
松本 清一
1
Seiichi Matsumoto
1
1自治医科大学産婦人科学
pp.759-761
発行日 1979年10月10日
Published Date 1979/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206108
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月経困難症は種々の原因によって発来する一つの症状であって,単一な疾患ではないことをまず認識しなければならない(図1)。月経時に発来する疼痛をすべて単一なものととらえて,同じ治療法をほどこすことが治療に手こずる一因になっていると思われる。
月経困難症は通常,性器の器質的疾患を伴わない原発月経困難症(機能性月経困難症)と器質的疾患を伴う続発月経困難症(器質性月経困難症)とに分けられている。しかし続発月経困難症の中には性器の器質的疾患が存在していても,それが真に原因として本質的な意義をもっているかどうか疑わしい場合も少なくない。例えば子宮後屈がある場合に果たしてそれが月経痛の原因となっているであろうか,子宮後屈があっても全く月経痛を訴えない婦人も多いのだから,少なくとも月経痛の背景には子宮後屈のほかにさらに何かほかの要因が加わっていると考えるべきであろう。
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