症例
絨毛上皮腫脳転移の1例—とくに脳内出血に対する外科治療について
松島 俊夫
1,2
,
萬納寺 洋道
1,2
,
上野 幹雄
1
,
渡木 報彦
3
Toshio Matsushima
1,2
,
Hiromichi Mannoji
1,2
,
Mikio Ueno
1
,
Kunihiko Watagi
3
1国立下関病院 脳神経外科
2現在九州大学脳神経病研究施設 外科
3国立下関病院 産婦人科
pp.523-526
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205867
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絨毛上皮腫の転移は大半が血行性で,強い血管親和性を有し,局所の血管壁を侵蝕する。そのため本腫瘍の脳転移例の中には,急激な脳血管障害として発症する症例も多く,他の転移性脳腫瘍と比べ特異な臨床像を呈する。したがって,この種の絨毛上皮腫脳転移例の治療は,他の転移性脳腫瘍と区別して考える必要がある。
われわれは,前後2回の脳内血腫除去術と,術後化学療法を行なうことにより,視力障害と軽度の右不全麻痺を残してはいるが,神経症状発現後2年の現在,介助なしに日常生活を送っている絨毛上皮腫脳転移例を経験した。ここにその症例を報告するとともに,若干の臨床病理的考察を加え,手術適応について検討したい。
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