新しい視点をさぐる 放射線診療のBlind Spots
X線骨盤計測の要領とその注意点
荒木 日出之助
1
Hidenosuke Araki
1
1昭和大学医学部産科婦人科学教室
pp.497-500
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205861
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X線骨盤計測にはいろいろな方法があるが,いかなる方法をとるにせよ方法論的に正しく撮影されたフィルムから骨盤の大きさ,形および胎児像を正確に読みとり,その相互関係を正しく判定しなければ何らの価値もないばかりでなく,かえって有害であるといっても過言でない。すなわち,本法は常に胎児の全身被曝という犠牲をはらわざるを得ないものであり,かつ歪んだ体位で撮影された骨盤像の計測点は不鮮明であるばかりでなく,フィルム像上で曖昧に「この点」と定め得たとしても,それは実際よりかなりはずれた点となり,計測値に大きな誤差を生ずる。その結果はいうまでもなく,判定を誤り,経腟分娩可能なものをはじめからCPDとして無用の帝王切開を行なったり,反対にCPD発生のおそれのあるborder—line caseで厳重な監視のもとで試験分娩を試みなければならないものをCPDのおそれなしとして安易に取り扱い,母児に重大な障害を与えたりするからである。
今回の本誌の企画はBlind spotsということであるのでX線骨盤計測に関する一般的事項は他誌にゆずり,とかく見落しやすい点,とくに注意すべき点,X線像判読の要領などについて記述する。
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