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Non-stress testと胎児予後
田部井 徹
1
1国立病院医療センター・産婦人科
pp.205
発行日 1978年3月10日
Published Date 1978/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205792
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分娩時のfetal distressは,妊娠末期よりすでに胎児予備能が減少している場合にしばしば発生する。このようなlatent fetal distressでは,顕性な症状が全くないので,その発生の可能性を前もって予知する必要がある。とくに胎児予後が不良に陥り易いhigh risk pregnancyの管理において,分娩前の胎児生活状態を正しく把握し,適切な胎児予後を推定することは周産期医学の向上に不可欠である。そのために,現在各種の胎児予備能あるいは胎児胎盤検査法が開発され,広く臨床に応用されている。中でもOxytocin clallenge test (OCT)はoxytocin負荷による子宮収縮に対する胎児心拍徐脈1)や加速2)の有無から胎児予備能あるいは予後を判定する検査法であり,従ってStress testの一種である。近年,Leeらは,自然に起こる胎動に伴う一過性の胎児心拍加速を有する胎児は予後が極めて良好であるという事実に着目し3),さらに胎動時にみられる胎児心拍パターンの変動が胎児予後とよく相関するばかりでなく,OCTによる胎児予後判定の結果ともほとんど一致することを認めた4)。すなわち,自然の胎動時に胎児心拍の加速を有する胎児は,すべてOCT陰性であり予後は極めて良好である。しかるに胎児心拍の加速を認めない場合にも,OCT陽性を示すことが多く,この場合児の予後は不良であるという。
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