新しい視点をさぐる Aging
Agingと術前術後管理
玉熊 正悦
1
Shoetsu Tamakuma
1
1東京大学医学部第1外科学教室
pp.27-30
発行日 1978年1月10日
Published Date 1978/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205757
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加齢とともに臓器や細胞の機能が次第に減退してゆく(老化・老衰)機序にComfort (1956)は,自動車の摩滅現象と同じ推論でwear and teartheoryをあげたが,その後Curtis (1964)は,放射線照射による生存日数短縮実験に基づいて体細胞突然変異累積説を提唱し,老化の生化学的研究に一つの転機をもたらした。
その後OH—,OH2—など細胞呼吸の過程やX線照射で生じるfree radicalsとそれによるmicro—lesion,生体高分子間にcross linkageと呼ばれる架橋結合が生じて一種のfrozen metabolic poolが増し,細胞生活が阻害される,などいろいろな異常が注目されている1)。生体の構成成分は,日々に生まれかわり動的平衡(Schoeuheimer1941)の状態にあるが,若い間はその代謝の流れがよどみなく進展するのに対し,老人ではあたかも沼地の流れのように沈滞してくるとし,"加齢とはinert materialの蓄積である"としたWarrenの言葉はagingの本質を端的に表現しているようである2)。
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