追悼
林 基之先生を偲んで
木下 佐
1
1東邦大学
pp.183
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205575
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昭和34年東大助教授より東邦大学に赴任された林教授は,着任早々から極めて精力的な活動を開始してわれわれを驚ろかされた。当時すでに日本産科婦人科学会の宿題報告を引き受けておられた先生は,不馴れな環境,不十分な施設,少ない研究費を全く意に介される様子もなく,医局員の先頭に立って多くの研究を指導され,わずかの期間に多大の成果をあげてこれを「妊娠成立機序に関する基礎的,臨床的研究」と題して世に問われたのであった。そしてこれを母体として東邦大学における不妊症,生殖生理学に関する研究は次次と新しい芽生えを見せ,花開いていったのである。
それと同時に先生の眼はつとに世界に向けられており,10数回におよぶ海外出張を通じて多くの学者と親交を結び,絶えず最先端の知識を吸収されるとともに我国における研究成果の紹介に努められた。それはやがて昭和46年東京,京都における国際不妊学会の開催という実を結び,先生が事務総長としてまさに献身的な活動をされたことはなおわれわれの記憶に新たである。
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