書評
—林 基之 著—臨床婦人科解剖学,他
藤盛 速水
1
1大阪市大
pp.772,785
発行日 1964年10月10日
Published Date 1964/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203138
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私は本書を手にして,(1)題名と体裁,(2)対象とする読者層,(3)内容の妥当性,(4)著者の個性の表現性等の観点から,書評を述べて見度い。
先ず本書の題名に非常な魅力を感じた。群書出版界の虚をついた感があり,頭のよい著者の考え出しそうな題目の書物であると感じた。そして,この題目から私は非常な興味を以て「果して内容は如何にと」頁を追うて読んで見た。そして二度びつくりした事には,私が想像した以上に,記載が微に入り,細を穿つていることである。例えば,私が40年程前,学生時代に学んだ「解剖学」と言う概念から遥かに脱却して,現代の最も新しい概念の解剖学の見地から女性性器を記述していることは,現代医学の進歩から考えれば寧ろ当然であろうが,臨床的に必要な検査方法とその意義を懇切丁寧に記述している故,婦人科臨床家にとり大いに参考となる。又肉眼的組織学的,電顕的所見の他に,組織化学,細胞化学,組織培養,オートラジオグラフ等の所見が紹介されている意味に於いて婦人科学研究者にも研究指針として大いに役立つと思われる。更に又,或は失礼な言い分かも知れないが,純粋の解剖学者にも熟読して貰つて,婦人科臨床家が何を求めているかを理解して戴き,御指導の参考資料にして戴き度い。
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