Japanese
English
特集 脳の奇形と発生
脳の先天異常と風疹
Rubella and congenital abnormalities in brain
平山 宗宏
1
Munehiro, HIRAYAMA
1
1東京大学医学部保健学科母子保健学教室
1Department of Maternal and Childhealth, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.337-341
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903384
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Ⅰ.まえがき
風疹による先天異常を初めて記載したのは1941年,オーストラリアの眼科医Greggであった。その後1962年に至って風疹ウイルスの分離・増殖法が確立され,さらに1964〜65年に米国で風疹の大流行があり,3万人といわれる異常児の出生に気づかれるにおよんで,この問題の重要性があらためて認識されるに至ったのである。わが国においても1965年,沖縄における風疹の流行の後400例近い異常児が発見され,その対策が社会的にも問題となっている1〜10)。
風疹による先天異常の種類としては,先天性心疾患と白内障がもっとも古典的といえる症例であるが,米国における詳細な観察の結果その他多くの症例が知られるようになり,総称して先天性風疹症候群congenital rubella syndromeとよばれるようになっている。これらのうちには脳の発育障害や発達遅延の症例も少なからず認められているので,ここでは先天性風疹症候群(以下CRSと記す)のうちで脳の障害と関係あるものをひろって考察してみたい。
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