総合講座 産婦人科と皮膚
妊婦と皮膚
安田 利顕
1
Toshiaki Yasuda
1
1東邦大学医学部皮膚科学教室
pp.821-824
発行日 1974年12月10日
Published Date 1974/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205108
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皮膚の特徴の1つの重要な点は,それが,たとえ軽微な可逆的な体内の変化であつても,その影響が早期に皮膚に現われてくることである。これは皮膚の病変として発現してきたとき,それを今日ではdermadromeとして一括している。また各臓器,組織の機能,形態に影響を及ぼすこともある。後者の1つの例として,妊娠に伴う,皮膚各成分の機能的,あるいは形態的変調をあげることができる。妊娠は一定の期間をかぎつてみられる生理的変動とすることができるが,その間,体内には種々の解剖学的,生理学的,あるいは生化学的変動が惹起されているわけである。そうして,これらの変動が正常範囲を越えて逸脱していくと,病的状態と呼ばれているわけである。そのため,妊娠に伴う皮膚の変化,ならびに病的異常を,Scoggins (1971)があげているように,表1のように分類するのが適切であるといえる。
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