今月の臨床 産婦人科内科—治療のポイント
妊娠期
22.妊婦の皮膚疾患
石川 英一
1
Hidekazu Ishikawa
1
1群馬大学医学部皮膚科
pp.1086-1088
発行日 1991年9月10日
Published Date 1991/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900557
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妊娠によって内分泌系にさまざまな変化が起こるとともに自律神経系の過敏が生じ,そのために母体にはいろいろの新陳代謝異常や,免疫抑制因子の出現などが認められる。また,胎児は母体にとって異物として作用するため胎児から逆に母体が影響をうけることも考えられる。
妊娠時に通常みられる皮膚の生理的変化としては,色素沈着(生理的色素沈着部位特に乳輪,外陰部などの色素増強。時に顔面の肝斑様色素沈着),多毛,軟性線維腫,妊娠線,血管拡張(手掌紅斑,くも状血管腫,顔面の毛細血管拡張,静脈怒張など),線状皮膚萎縮,浮腫などがあることはよく知られている。これらの皮膚変化のうち線状皮膚萎縮は分娩後も残るが他のものは治療をしなくても分娩後軽快する。このほかに,明らかに妊娠の影響が関係していると考えられる疾患,妊娠に随伴しやすい疾患がいくつかあり,治療を必要とするので以下に述べる。
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