カラーグラフ 臨床家のための病理学・16
子宮疾患・Ⅶ
滝 一郎
1
1九州大学医学部産婦人科
pp.466-467
発行日 1973年6月10日
Published Date 1973/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204832
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子宮頸癌の肉眼的所見は,上皮内癌や初期侵潤癌のように微々たるものから,一見して診断されるといえる程度に進行したものまでさまざまである。最も注意を要するのは,頸管内でかなり進行しながら,肉眼では認められないものである。頸管内の上皮内癌や初期侵潤癌と同様に頸管スメアの細胞診で認知できる。いわゆる"びらん"のない子宮頸部に対してのみならず,細胞診には頚管スメアを欠かすことはできない。子宮頸癌は組織学的に扁平上皮癌と腺癌に分類される。扁平上皮癌についてはMarzloffの分類(1.棘細胞型:成熟した扁平上皮細胞に類似し,角化や癌真珠形成のあるもの,2.移行細胞型:扁平上皮中間層の細胞に類似するもの,3.紡錘細胞型:扁平上皮基底層の細胞に類似するもの),Brodersの分類(分化型細胞と未分化型細胞の占める割合を基準として第I〜IV度に分ち,未分化型細胞の多い方が悪性であるとしたが,全面的な賛成は得られていない)などがある。日産婦子宮癌委員会は表1のような組織分類基準を用いる。
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