特集 産婦人科医のための腫瘍診断学
婦人科の周辺にある外科疾患—外科の立場から
上垣 恵二
1,2
Keiji Uegaki
1,2
1都立広尾病院外科
2東大
pp.203-207
発行日 1973年3月10日
Published Date 1973/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204789
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はじめに
婦人科でとりあつかわれる内性器の大部分は骨盤腔内にあり,多くの腹腔内臓器にとりかこまれて,それらと解剖学的に近似の位置をしめている関係上,診断面で混乱がおきることが少なくない。とくに,space occupying lesionとしての性質が強く,特殊な症状を呈しがたい腹腔内腫瘤にあつては,鑑別診断上での問題性がより複雑となることが推測される。直腸,結腸の炎症性疾患やある種の腫瘍はそのよい例であつて,発生母地がいずれであるのかよくわからない症例が,時に,みうけられる。別の言葉でいうなら,これらの疾患は婦人科と腹部外科との境界線上にある疾患ということになる。術前の診断だけでなく,手術室の中においても,判断がつかず,最終的な結論を病理組織学的所見に求めなくてはならない症例すらみかけることがある。
これら疾患の治療を完全におこなうためには,婦人科医あるいは外科医だけでは駄目で,両者の協同作戦があつて,始めて,まつとうされるのは当然のことである。
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