薬の臨床
機能的卵管疎通障害例に対する臭化プリフィニウム(パドリン)の使用経験
飯塚 理八
1
,
池内 正光
1
,
河上 征治
1
,
所 博史
1
Rihachi Iizuka
1
1慶応義塾大学産婦人科教室
pp.269-272
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204188
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はじめに
慶応大学産婦人科外来に不妊を主訴として来院し,卵管検査(描記式通気法,子宮卵管造影法)を施行した患者は,昭和39年1月より昭和43年12月末日までに1万例に及んでいる。不妊一般検査の結果は,依然として女性不妊の中では卵管障害が最大因子となつている。
現在行なわれている検査法は種々あるが,いずれも一長一短で,唯一種類,一回だけの検査で疎通性が正常であるとか,閉鎖しているとかを判定することは,大きな誤ちを犯す原因となる。まして疎通性障害がある場合,それが卵管腔の癒着または狭窄によるものか,卵管周囲の癒着によるものかを一言で判定することは不可能であるといえる。ことに通気法による疎通障害を器質的変化によるものか,機能的影響によるものかを決定することは,はなはだ困難である。卵管筋,ことに卵管間質部筋層の痙攣性収縮により,卵管に機能的閉鎖が起こることはRubinをはじめ多くの学者も認めている。
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