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卵巣偽粘液性腺嚢胞
Retroperitoneal pseudomucous cystadenoma of the ovary
pp.1060
発行日 1969年12月10日
Published Date 1969/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204133
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後腹膜にP.C.が見い出されたのはBassini(1889)の旧きにさかのぼるが,主訴は圧迫感疼痛などすくなく,また諸検査で診断しにくい。もつとも有力な方法はIVPと逆行性pyelogramで,本腫瘍が後腹膜にあつて,かつ尿管を偏位せしめているところから想定される。さて著者の例は44歳,1956年左季肋部に腫瘤を触れ,その後10年やや拡大し,圧迫症状・疼痛を現わしてきた。1966年11月入院。患者は聾唖で,口蓋破裂があつた。27歳結婚,帝王切開で1児を産んだ。腫瘤は脾と考えられたが,腹部膨満,左季肋から臍高位までの大きい硬い腫瘤で,IVPで左腎が不完全充盈,血液異常なし。開腹すると,左腎付近から発した30×23×15cmの後腹膜大腫瘤で,膵,脾,腸への血管がその上を横ぎつている。被膜あり,完全剥離切除に成功,一部solid,一部cysticでmucoid fluidを含む。pseudomucinous cystadenomaと決定。全治。本症は発見は古いが,報告例数は少ない。本例は正常卵巣は精査しなかつたが,文献にもそうしたものが多い。したがつて骨盤に正常卵巣が1対存しているか否か十分あきらかでない。そこでundescen-ded ectopic ovaryか,supernume-rary ovaryか確実でない。また,そのいずれとも思われる報告例があるようである。
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