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女性性器癌では頭,体,卵巣についで陰門癌が第4位を占める低頻度なので,Taussig(Am.J.O.G.40:764,1940),Way(Brit.M.J.2:780,1954)によつて陰門全摘両側鼠径リンパ節廓清法が確立するまで一定の治療方式がなかつた。本報は1926〜1961間156例の5年以上のfollow upで,頸癌その他の陰門転移は除外している。期間が長いので治療法に相違があるが,1930〜1940間に全摘廓清方式が多くなつた(2段法)。1940以後は1段法で拡大根治法へと進んでいる。照射は再発のみに用いる。70〜79才54例,60〜61才40例,50〜59才24例で,50〜79才で2/3。来院時主訴は腫瘤(45%),疼痛・痒感・排尿障害(37%),出血・分泌(11%),鼠径部腫瘤(3%),その他(4%)。組織学的にはepidemioid ca (87%),腺癌(2%),基底細胞癌(4%),メラノーマ(3%),未分化癌(1%),不明(3%)来院までおくれているのは,老令者であり,羞恥感などのためで,症状に気づいてから来院まで平均10.3カ月。他院で保存的に治療して癌を疑わないというのも遅れる原因であろう。鼠径節を検査しえた83では転移陽性43(うち9例触診しえず),陰性(40)。5年生存36%(56/156)。このうち45例(29%)は全く無症状で健康にはたらいている。全摘廓清根治術68例では31例が全く無症状,4例が再発を示して生存。根治術式不完全の31例では無症状健存11例,再発をもつて生存3。根治術では入院日数平均51日。術後1ヵ月内死4例(根治術の4%)。根治術における鼠径リンパ節転移の有無で見ると,positive 31例では,無症状健存6,再発ありて生存2,negative 37例では無症状健存25,再発あり生存2。再発の58%は陰門部であり,拡大手術の必要性をみとめる。再発の75%は2年以内にあらわれている。
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