My Technique in series・12
背臥位屈曲腰椎麻酔法
勝野 六郎
1
1都立駒込病院産婦人科
pp.356-357
発行日 1968年4月10日
Published Date 1968/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203873
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我々は背臥位伸展腰椎麻酔法によつて,腰麻をめぐる諸因子に関しての臨床成績を再三報告してきた。本法による腰麻は理論的に体動を全く否定できる副作用の少ない調節しやすい正しい腰麻法と信じているが,実際には脊柱彎曲度を充分に考慮して置かぬと彎曲度が16°以上の者に予想外の早期高位麻酔が起こり,麻薬量が多かつたことになるし,また屈曲位にて穿刺してから患者を水平位にした際よく吟味しておかぬと髄腔より針が逸脱していて麻酔を失敗する事があり,さらに時にL2-3においても針が曲がる事がある。ことに肥満者や妊婦において時々経験される。
実際上,レ像で脊柱彎曲度を調べておく事は手数でもあり,針の逸脱を防ぐ為に屈曲位のまま穿刺した後続いてその位置で正しく針が髄腔内にある事を確かめてから薬液を静かに注入してL2-3の位置にしばらく瀦めてから体位を極めて静かに水平伸展位とし,脊柱彎曲に沿つて麻酔が進行する背臥位屈曲法を実施した。帝王切開50例宛の伸展位,屈曲位の比較臨床成績を昭和41年(於宇都宮市)に,また産婦人科手術100例の成績を昭和42年(於浦和市)の産婦人科学会関東連合地方部会で発表したので,その要約を申し述べてここに追加する。
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