今月の臨床 早期子宮頸癌--今日の焦点
子宮頸部の初期癌と腟拡大鏡診Colposcopy—特に診断面からみたその占居について
栗原 操寿
1
,
筒井 章夫
1
,
宮原 宏次
1
Soju Kurihara
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
pp.50-61
発行日 1968年1月10日
Published Date 1968/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203827
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はじめに
治療医学の面から,癌の早期発見はきわめて重視されている。今や子宮頸癌の早期診断を論ずるとき,細胞診と腟拡大鏡診の2つの診断法を度外視するわけにいかない。これらの活用で上皮内癌ca.in situや初期浸潤癌early invasive carci-nomaといつた顕微鏡的な初期癌を比較的容易に発見し,治療する段階にはいつているからである。一般に,頸癌の診断法として細胞診をどちらかというと重視し,とかく腟拡大鏡診を軽くみる向きがないでもない。これは間違いで,とくに初期癌の臨床上このどちらを欠いても片手落ちといわざるをえない。
腟拡大鏡診はmalignant cellの由来をつきとめ,狙い組織診の位置を見定め,細胞診のfalse-negativeを補正し,むだなbiopsyを省くのに役立つ診断法であることはすでに周知のところである。ここではこの診断法を用いて子宮頸部の初期癌にむかつた場介,臨床の実際上どのように役立つかを具体的にのべてみることにする。
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