今月の臨床 早期子宮頸癌--今日の焦点
細胞診の要点
和田 卓人
1,2
Takato Wada
1,2
1九州大学医学部産婦人科教室
2三井三池病院婦人科
pp.45-48
発行日 1968年1月10日
Published Date 1968/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203825
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はじめに
早期子宮癌検出は拡大腟鏡診,細胞診,組織診による診断にたよるのが常であるが,なかでも細胞診の占める地位は大であり,癌が初期であればある程,臨床上必要欠くべからざる診断法である。少なくとも癌の補助的診断の域を脱しつつあるといつても言い過ぎではないような気がする。
近年,癌に対する啓蒙啓発が盛んに行なわれるにつれて,集団検診や定期検診を含めた癌検査希望者が増えている。これらの多くの人々を,早く適確に検査してあげる必要があるばかりでなく,癌の疑わしい症例については,組織をあまり傷つけずにfollow-upする必要がある。また少数ではあるが,盲目的な不必要と思われるような組織診がみられるが,これらを防ぐ意味でも,また組織診で,時に癌巣が小さいために拡大腟鏡診を利用しても,なおかつ狙い切除がはずれたりするための誤診を防ぐ意味でも,細胞診の有用性は大きい。しかし,本細胞診は,医師にとつては,その手技は簡単であつて誰にでもやれるし,それが正しく鏡検診断された場合,ほとんどといつて癌患者を見逃すことがない。また,患者にとつては,肉体的苦痛はほとんどなく,経費も時間もわずかで済むという利点がある。
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