連載講座 産婦人科医のための血液学・9
妊娠と凝固系
品川 信良
1
Shinryo Shinagawa
1
1弘前大学医学部産婦人科教室
pp.749-751
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203768
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I,妊産婦の凝固能は亢進している
妊産婦の血液凝固能は,非妊時のそれとは,明らかにちがつている。このちがいは,妊娠の中期ごろから著明になり,産褥の初期にまで持ちこす。この間の変化を一口(ひとくち)でいうならば,凝固能の亢進(hyperco—agulemia)といつてさしつかえない。具体的には,全血凝固時間の短縮や,血栓弾性図(附図)における反応時間rや凝固速度kの短縮,最大振幅maの増大などによつて,これを知ることができる。このほか,附表に示すように,線維素原を始めとする個々の凝固因子について調べてみても,大ていは,かなり著明な増量や活性の亢進がみられる1,2)。
妊産婦における凝固能の亢進がそのピークに達するのは,普通は分娩第2期であるらしいが,しかし,患者によつては,産褥初期のほうがかえつて亢進している場合もある。
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