誌上シンポジウム"新生児"・4 新生児黄疸(上)
ABO溶血性疾患の診断
官川 統
1
1東京大学医学部分院産婦人科
pp.306-308
発行日 1967年4月10日
Published Date 1967/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203678
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結論から申しますと,AEO不適合というものは,はっきりした診断根拠というものを現在有しない,ということでございます。なるほどABO不適合とは見かけ上は次のような不適合に区分されるわけであります。すなわち母親がO型で児がAかB,そして母親がAで児がBかAB,そして母親がBで児がAかABであります。一般分娩の母児間の適合と不適合の頻度を申しますと,320例の統計では,適合妊娠が71.7%,不適合妊娠が28.3%という工合に出ております。その不適合妊娠の内訳を見ますと,圧倒的にOとAの組み合わせが多くて43%,OとBが15%,そしてAとBが12%,AとABが13%,BとAが9%,そしてBとABが8%でございます。
さて今度は話をかえまして,今回重症黄疸のため,または既往の重症黄疸で死亡したために次回はつきりした適合があつて,交換輸血を受けたABO不適合につきまして,同様その頻度を見ますと85例の統計では,OとAが56%,OとB36%, BとAB 4%, AとAB 4%以外はゼロとなつています。やはりABO不適合でも交換輸血を受けるに至つた例は,母親がO型そして児がAかBというのが大部分で,母親がA型またはB型は非常に少ない頻度4%くらいであることがわかります。
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